広汎性発達障害だと、うつ病だと診断された私は、遠くへ、遠くへ。焦って焦って、日々を良くしようとしてもダメだった。誰かに追いつきたくて、けれども追いつけなくて、途方にくれて全てが徒労に終わっているようだった。

 けれども実際は、座り込んでも大丈夫だった。怖くて病院に行けない日も必要だったのかもしれない。処方薬がなくとも心拍数が上がらなくなったんだから。

  そうだ11月、何があったのかというと、全てがあった。その全てが、私の全てを覆い尽くしていた。どこかに手を伸ばしたくても、そのどこかがわからず、伸ばす手ですら剥き出しの、ボロボロの心のままだった。恋人の浮気、精神科への通院、シェアハウスの出禁、毎日の混沌とした私の精神に呆れ果てた、両親からの圧、それによる焦り……。まず、お金を稼がなくてはならない。通院に必要だし、何より両親を安心させたい。自立へ向けて、勉強をしなくてはならない。インターンで日報を書くために、毎日成果を出さなくてはならない。笑っていられるわけがなかった。楽しい時間でさえ、心の底では不安と焦りで憔悴しきっていた。

 ……それからも、色々なことがあった。悲しいことや辛いこともあった。小さな歯車が沢山あった。噛み合わさっていなかったり、逆回転してる歯車が沢山あった。けれども、7月に入った今見上げると、まだ少し霧がかかってはいるけれど、途轍もなく大きな歯車が、ゆっくりと回っているのが見える。

  11月に、ふと剥き出しの心に暖かく広がってくれた光が、今でも穏やかに私を包み込んでいる。


George Harrison - Here comes the sun